2016年を振り返る

今年は娯楽の出会いが多かった。

音楽

尾崎豊は、中高生の心を鷲掴みにする歌詞が素晴らしい。

特に「卒業」には感動した。教師や社会からの、明瞭であったり、漠然であったりとした窮屈感を歌い、共感を持たせてから、実は「それは卒業すると全て終わるんだよ」と気付かせる。

そしてその卒業は、これからの人生で何度も繰り返される「自分自身からの卒業」の内の一回でしかないとも。

内向的な人を勇気付ける為に書かれた本なので、やや考えに偏りがある様に感じるものの、アメリカでの研究結果を基にして語られていて良かった。日本語訳された物を読んだのだが、何故か巻末の出典が無かったので原書を後日買った。

後半は筆者自身の経験を基に、具体的な対処法について述べられていて参考になった。

クラシック

生まれて初めてクラシックオーケストラのコンサートに行った。

聞いた演奏は、ワーグナーのローエングリンから数曲と、ベートーヴェンの交響曲第9番。

目の前にいる何十人もの演奏者、歌手からマイクを介さずに伝わる音は、ただそれだけで感動をもたらしてくれる。

歌詞や旋律ではなく、楽器の重なりだけで楽しませる娯楽は、スピーカーやイヤホンから出る音に慣れ親しんだ世代だからかもしれないが、とても新鮮だった。

映画

これまでは「一番好きな映画は?」と聞かれたら「アンドリューNDR114」と答えていた。
映画館で観ながら(これは一位が替わったな…)と感じたのは初めてだ。

娯楽において密度は重要だと思う。密度が濃いと息もつかせぬ展開となるし、逆に薄いとゆっくりとした、落ち着いた雰囲気の物語となる。「君の名は。」は視聴者を置き去りにするくらい高密度で、急展開が多い。

その急展開を緩和する為に、冒頭をミュージックビデオ風にして先の展開を見せたりもしていたが、それでも理解が追いつかず、少しだけ話に不明瞭な点が出てしまう。

これによって、答え合わせをし合う人が増え、口コミが広まったのだと思っている。恐らく、その辺りも考えられて作られているのだろう。

来年はどんな出会いがあるのだろうか。