一眼カメラを買った
ソニーの α7R III を購入した。
カメラはスマートフォンの物くらいしか使った事は無いが、一眼カメラを持つと、まるで新しく目を持ったかの様に視野が広がった。
例えば新宿御苑へ行くと、普段なら見過ごす様な木のうねり、光の当たる所、影になる所が気になる様になった。風景をどう切り取れば美しい写真になるか考える癖がついた。
本記事に載っている写真は特に記載が無い物は α7R III とSEL2470GMを使用している。
なお、シャッタースピード等の情報は元の8K写真に残してあるのでそちらを参照の事。
圧倒的解像度
α7R III と聞くとまず思い浮かぶのは解像度だろう。8Kの最高画質は凄まじい。ちなみに、8Kの定義とは縦横比が異なるので、実際には超えている。
以下の微妙な写真をご覧いただきたい。
この写真から切り出して、仮にInstagramに等倍で投稿するとこうなる。
この様に、小さくても画面内に写ってさえいれば、用途次第では素材として使えてしまう。
秒間10連写も便利で、水滴が落ちる瞬間すら写真に収める事が出来た。
4K動画の性能
最大で4K30fpsの動画を100Mbpsで撮影する事が可能だ。
瞳オートフォーカスによる顔認識により、人物の撮影時にはピントが合わなくなってもすぐに追従してくれる。
ただし α7R III に限らない多くの一眼カメラの特徴として、撮影時間が限定されているという欠点がある。α7R III の場合、4K30pでは約30分に限定される。
SONY の公式サイトを見ると地味に勘違いしそうだが、動画撮影時は初期設定ではCMOSが Super 35mm モードだが、フルサイズにする事も出来る。ただし、Super 35mm の場合は5K相当の画像情報をスーパーサンプリングして4K動画を作成するが、フルサイズでは行われない。
情報源が公式サイトの説明文しか無いので当て水量となるが、α9ではフルサイズで6K相当からのスーパーサンプリングが可能だと言う事を考えると、α7R III はフルサイズだと情報量が8Kとなってしまい、処理がし切れなくなるからではないかと考えている。
代わりに、α7R III はフルサイズでの動画撮影時の場合は高ISO感度での画質が向上しているらしく、暗所での撮影時にはフルサイズ、それ以外では Super 35mm と使い分けると良いのかもしれない。
こちらは新宿御苑で三脚を使って撮影してみたものだ。CMOS は Super 35mm モードにし、テレ端 (最大倍率) で撮影している。
手持ちでの動画撮影。条件は同上。テレ端でも手振れ補正でブレが緩やかになっている。
PCとのUSB接続が便利
USB Type-C でパソコンと接続が出来る。この場合、パソコンの画面に被写体が映る様になり、撮影や録画、細かい調整も全て行う事が可能になる。
更にSDカードを経由せずに写真をそのままPCに保存が出来る上、バッテリーを消費せずにPCからの給電で動作する。
パソコンではなくモバイルバッテリーをつないだ場合、給電のみを行う事も出来る。
また、スマートフォンとBluetoothで接続すれば、スマートフォンのGPSを使って、写真に位置情報を付ける事も可能だ。
ピクセルシフトマルチ撮影は繊細
α7R III の最大のウリがピクセルシフトマルチ撮影だ。
デジタルカメラのセンサーは本来モノクロの写真しか撮る事が出来ない。だが1ピクセルごとに赤、緑、青のカラーフィルターを貼り付けると、そのピクセルにおける赤、緑、青のどれか一色の色情報が分かる様になる。
それを「隣り合っているピクセルは色がそう急激には変化しないだろう」という前提のもと、隣同士で赤、緑、青の色を合成する事で、デジタルカメラはカラーの写真を撮る事が出来る。
その為、実際には隣の色が急激に変化していた時は少しぼやっとしてしまうし、色に規則性があった場合はモアレが発生してしまう事がある。
ピクセルシフトマルチ撮影は1ピクセルずつずらした4枚の写真を重ね合わせる事で、隣り合ったピクセルの色を合成させるのではなく、本当のそのピクセルの色を再現する事が出来る。
将来的には分からないが、執筆時点ではピクセルシフトマルチ撮影は α7R III の代名詞と言っても良い。
撮影はとても難しい。ミリ単位でも動く被写体であればぶれてしまうし、地面のわずかな揺れですら失敗の原因になる。
蛍光灯はフリッカー(ちらつき)が発生してしまう為、室内での撮影の場合は適切な照明を選ぶ必要がある。野外での撮影でも雲や大気の影響で上手く撮れない事がある。
以下の写真は試しに比較用として撮った物だ。カメラを机の上に置き、照明は付けず、快晴の昼間に窓からの露光のみで撮影した。
レンズは解像の高いマニュアルレンズとして有名な FiRIN 20mm F2 FE MF。最も解像の良い状態だと実用に欠けるので、絞りは解放で、被写体は中央から少しずらした。
被写体はピントが合うぎりぎりの近さに置いた。ちなみにこのドット絵の作者は GRADUCAさん。
普通に撮った写真。ピクセルシフトマルチ撮影では手ブレ補正等の機能がオフになるので、合わせてサイレント撮影モードにした。
ピクセルシフトマルチ撮影で撮った4枚の写真を合成したもの。
そして四倍に拡大して比較した物がこちら。左が普通の写真、右がピクセルシフトマルチ撮影の物。
どちらも同じソフト、圧縮率でRAWからJPEGに変換している。
普通に撮った写真は一見ピントが合っていない様に見えるが、完全に同じ設定で撮っている。
広角レンズなので被写体自体が小さいというのもあるだろうが、ピクセルシフトマルチ撮影はアクリルにプリントされたイラストのザラザラとした質感まで鮮明に写されており、目に見えて違いが分かる。
机のピントが合っていない所を見ても、普通に撮った写真はザラつきがあるが、ピクセルシフトマルチ撮影の場合は滑らかになっている為、ボケの美しさにおいてもメリットがあると言える。