Battyを公開した

本日、合同会社zoomeからBattyを公開した。

https://batty.life/

自分の居る場所などを知人と共有しながら連絡を取り合う、いわゆる位置情報共有SNSアプリとなっている。

突然サービスを終了した首位

「位置情報共有SNS」という分野は、長らくアメリカのSnap社が運営していたZenlyというアプリの独壇場だったが、2月3日にサービスを終了する事が決まっている。

サービス終了の理由は「会社全体でチームの規模を縮小する為」との事だが、黒字の事業であれば当然継続するので、赤字だったと考えるのが妥当だろう。

また、利用者が4000万人いたのにも拘らず、事業の売却や、経費を削減してサービスを存続するという選択をしなかった事から、それだけ利益の見込みづらい分野だった事が窺える。

これに関しては、少し思い巡らすだけでも腑に落ちる理由が見つかる。

アプリが前面になっていない状態、つまりアプリを閉じている状態やスマホの電源を切っている状態でも「移動すると位置情報を送信する」という仕組みなので、とにかく通信量が多いのだ。

位置情報は一日中送っていても実際にアプリを開くのは数分という人も多いだろうから、採算を取る事が難しかったのだと思う(もちろんアプリの使い方としては普通)。

なので、後釜として位置情報共有SNSを作るのであれば、いかにして維持費を抑えつつ、アプリを開いてもらえるかを考える事が重要になる。

位置情報共有SNSが作りづらい事情

実はZenlyがサービスを終了する事がニュースになった時、Battyを作る気は全く無かった。

理由は二つあった。一つ目は前述の通り採算の困難な点で、もう一つは「Zenlyの模倣」が重視されるという点だ。

言わずもがな、4000万人の元Zenly利用者はZenlyそっくりの見た目、同等の機能、同じ操作感のアプリを求めている。
もし細部までそっくりなアプリを作れた場合、ほぼ全員がそのアプリを使う事は想像に難く無い。

とはいえ模倣は著作権・商標権の観点から見て危険だし、そもそもの話、恐らく数十億は開発に費用をかけていたであろうZenlyと同じ物を作る事は不可能に近い。

加えて、Zenlyが復活する可能性もゼロではない。
一年かけて作り込んだけれどもZenlyがサービスを再開したために徒労に終わる…という事は十分に考えられる。

実際に、これはBattyの開発を開始してしばらく経ってから知ったのだが、元Zenlyの地図開発チームが位置情報共有SNSを作っている

作る事にした理由

にも拘らず作る事にした理由は、Zenlyアプリのストアページに寄せられたレビューを読んでいた所、「家族との連絡に重宝していたので残念」という物が多かった為だ。
家族との共有であれば見守りアプリを使う人ばかりだと思っていたので、意外にも家族用としての需要もある事に驚いた。

でも、それもそうか…とも感じる。
友達と一緒に使っているアプリの延長線として家族と使うのと、家族の為だけにアプリを使うのでは、心理的な始めやすさが違うのかもしれない。

なので、「家族とも使うSNS」という方向性で進めると、他にはない魅力を生み出せるのではないかと考えた。

例えばプライバシー関係の機能は、最初の段階では中々重視しづらい。
また、実装が難しい上にサーバー負荷の大きい、自宅や学校、会社への到着や出発の通知なども、早い段階で設計しておけば難しくない。

経験上、こういった競争に近い状況の場合、最初は見た目や雰囲気を重視したアプリの人気が出るが、時間が経つにつれアプリに求める機能の違いによって乗り換えが起きやすい。
(ちなみに、この時の乗り移りは急に起きる事が多いので、事前の備えが非常に大切)

位置情報共有SNSの中で四番手、五番手くらいであっても数万人の利用者は見込めるだろうし、そうなれば事業として十分な規模になる。

という事で、他とは遅い伸び方になる事を前提として、去年の12月11日にBattyの開発を始めた。

Zenlyと見た目が極力似ない様にし、個人的に使いやすい操作性にした。
また、通信量とサーバー側の計算時間を削減する工夫も、設計当初からいくつも盛り込んである。

狙い通りの需要が出て利用してくださる方がいらっしゃった場合は勿論嬉しいし、悪い方の読みが当たり、海外の後発が市場を席捲した場合でも、維持費を少なくしているのでサービスの存続が可能となっている。
それに加え、チャットや地図など再利用性の高い機能が揃っている為、サービス開発によって生まれたコード資産も無駄にならない。

名前の由来

Battyはbattery(バッテリー)とかけた駄洒落だ。

英単語のbattyは語義通りだと「コウモリの様な」という意味になる。

スラングとしては「変な」や「ふらふらとした」、過度な物では「頭のおかしな」という意味にもなる。
ただ、Battyが姓の人もいるので、最初を大文字にしていれば過度の方に勘違いされる事は無いと思う。

また、URLの batty life は「放蕩生活」という意味で、battery life(バッテリー寿命)とかけている。
バッテリー寿命は「バッテリーを酷使して交換が必要になるまで」または「充電が満タンになってから空になるまで」を指すが、ここでの意味は後者だ。

バッテリー残量も共有するアプリという事と、若年層向けのアプリなので、少し悪い意味のスラングを持っている方がウケが良いと思い命名した。

アイコン

一時間ほどで制作した。

まず「コウモリ イラスト」でGoogle画像検索をしてみた所、羽の膜を曲線に描いている物が多かった。

なので試しに直線にしてみたら意外と良い感じな気がしたので採用し、両目が開いているとつまらない気がしたので片目を閉じさせてみたら何だか良い感じになったので採用した。

Battyは海外にも出す予定だが、最近の海外のSNSアプリは黒か紫色が多い印象がある(詳しく調べてはいない)ので、コウモリの連想から紫を基調にした。

最後に「グラデーションを重ねると何か良い感じになる」というデザインの裏技を使う事に決めた。
背景にグラデーションを施し、コウモリにも同じ色のグラデーションをかける。
この時コウモリの方は開いている目の方向にずらすと、何故なのかは分からないが、意味ありげな雰囲気が出て良い感じになる。

国内に絞って考えた場合は暗すぎる気がしたが、試しに知人数名に見せた所、かなり好評だったので変更はせず、そのまま採用した。

私のアイコン作りは適当です。

左はクリオネっぽい。

アイコンの作り直し

元々海外向けに考えたアイコンだったが、日本国内用のアイコンを別に作ろうと思い、2023年5月16日に新しいアイコンに変更した。

その後、特に狙った訳では無いが、BeReal.が人気を博したり、Meta社のThreadsが登場したり、TwitterがXに名称を変えたりと、黒背景に白字というデザインが一気に増えたので、こちらのデザインに統一する事にした。

同年の8月22日にロゴを作った。