敬語翻訳を公開した

本日、合同会社zoomeから敬語翻訳を公開した。

https://敬語翻訳.jp

日本語で書かれた常語を敬語へと置き換えるアプリになっている。

敬語の重要性

文化庁による2018年の報告書によると、国語への関心において「敬語の使い方」は62.1%で二位となっている。

これは一位の「日常の言葉遣いや話し方」の73.7%と並び立っている。三位以降は30%未満の物しかない為、いかに関心が高いかが窺える。

また、私の実体験として、敬語はビジネスにおいて重要だと感じている。

面識の無い相手とのメールなど、文面からでしか相手を判断できない場合も多い。
その様な状況では適切な敬語が使われているかによって、先方からの返信の有無が決まる事もある。

この辺りは敬語のみならずビジネスマナーとも関係が深いが、こちらは業界や会社によっても差異があり、確実な正解というものがないので敬語一択のサービスを作る事にした。

深層学習との親和性

「日常語を敬語にする」サービスはいかにもありそうだが、実はアプリやWebサービスというものはほとんど存在しない。

現在スマートフォンのアプリストアにあるものは一件のみで、他に調べた範囲では卒論や修論が何本かあるだけだった。

この様な状況となっている理由は、技術的に難しかった為だと考えられる。

手作業で「この言葉はこの敬語に置き換える」と分けていくやり方では、二重敬語や、動作の対象によって変化する尊敬語・謙譲語・丁寧語の使い分けに対応しきれない。

その為、常体の文章を敬語へと置き換えるサービスを作る事が可能なのは、機械学習などのAIに強い一部の大企業くらいしか無く、
作る手間を考えると厳しい状況であったが、2012年に登場した深層学習によって大きく手間が減った。

深層学習を用いれば、学習データから文章に応じた適切な敬語の組み合わせを導き出してくれる為、現実的な範囲でのサービス運用が可能になる。

とはいえ、 深層学習を用いる為には大量の「敬語ではない文章と、それを敬語にした文章」のデータセットが必要になるので、どちらにせよ最初は地道に敬語へ置き換える為の表を作っていくしかない。

学べる敬語置き換えアプリを

日本語は主語の省略が出来る言語であり、そういった文章を機械的に正しい敬語に変換する事は出来ない。

例えば「以前言っていた件ですが」を敬語にしたい場合、以前「言っていた」のが自分なのか、身内の第三者なのか、相手なのか、相手側の第三者なのかで正しい敬語の種類が変わる。
更に、相手と自分との関係に応じた、適切な敬意の敬語を選ぶ必要もある。

これを機械的に判別できる様にするには、主語の無い文の場合は、主語が誰なのか、どの様な立場の人なのかを入力するという面倒な仕様になってしまう。
なので、主語がはっきりとしていない文においては利用者に選んでいただくしかないし、どれくらいの敬意にしたいのかも、利用者の好みで決めていただくのが最善だと思う。

それに加え、そもそも敬語は気持ちの問題という事もあり、置き換えるだけではなく学べるアプリとしても作っていく必要があると考えている。

アイコン

ビジネス向けだと分かりやすく伝える為に、青色を基調とした法人向けソフトにありそうなデザインにしている。

グラデーションの掛かった背景に一文字入っただけの単純な造りだが、
以下の左のアイコンが5分くらいで作った初期案で、右がその後3時間かけて試行錯誤した完成版となっている。

背景の色はそのままなのに、文字の配置や字体、グラデーションの方向が変わっているだけで大きく印象が異なっていて、デザインの奥深さというか、難しさの様な物を感じた。